孤独死の現実、見えない悲劇

~誰にも知られず消えゆく命~

孤独死とは?

孤独死に明確な定義はないが、現在国では、当面は「誰にも看取られることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様」と仮置きしている。

「誰にもみとられずに一人で死ぬこと」は共通ですが、孤独死より孤立死の方が「家族や地域住民との関係が希薄で社会から孤立した状態での死亡」の意味を含んでいます。 孤独死は誰にでも起こり得ることで防ぎようもありませんが、孤立死は防ぐことができます。

孤独死・・・孤独死とは何かの原因で、亡くなる際に誰にも看取られず亡くなったことを指します。家族や親族、近隣住民とも、ある程度の交流はあったものの亡くなる際にひとりの状態であった場合を孤独死と呼びます。
孤立死・・・孤立死とは家族や近隣住民との関わりが希薄で、社会から孤立した状態で誰にも看取られることなく亡くなることを指します。

独居高齢者だけでなく、若年層の孤独死も増加しています。
SNSの普及により、対面会話よりもインターネットの中でのつながりやゲームを通じた交流が主となり、いざ助けが必要になったときには誰にも頼ることができない状況に陥るのです。また年々増加傾向にある未婚率も、孤独死の要因として挙げられます。

孤立死・孤独死が
増加している背景

①高齢化社会

日本は急速に高齢化が進んでおり、令和6年時点で65歳以上の高齢者人口は29.2%に達しています。
さらに、一人暮らしの高齢者も増加し、令和6年には約650万人が一人暮らしをしています。この増加は、家庭内での孤立を深刻化させ、適切なケアが受けられないリスクを高めています。

②核家族化と単身世帯が増加傾向

核家族化の進行により、家族間の絆が薄れています。
特に都市部では若い世代が仕事のために親元を離れ、高齢者が一人暮らしをするケースが増えています。令和6年度版高齢社会白書によると、全世帯における単身世帯の割合は31.8%で、単身者は年々増加していることが分かります。
また、令和 2 年時点で、65 歳以上の一人暮らしの高齢者世帯(約 6,717 千人)が全世帯の約 15.2%を占めており、その割合は増加傾向が見込まれていることからも、現在ではさらに増加していることが伺えます。

③地域コミュニティの希薄化

地域コミュニティのつながりが希薄化しています。かつては地域のつながりが強く、近隣住民同士での見守りが行われていましたが、現在では地域の連帯感が薄れ、孤立しやすい状況が生まれています。これにより、日常的な助け合いや福祉情報の共有が減少することで高齢者が必要な支援を受けにくくなり、孤独感が増大して精神的健康が悪化し、さらに緊急時の対応が遅れるため、これらの要因が重なって高齢者の孤独死のリスクが高まります。

④社会的孤立

高齢者は退職後の社会的役割の喪失や病気、障害による外出の困難などにより、社会的に孤立しやすい状況にあります。特に男性高齢者は、仕事を退職すると社会とのつながりを失うことが多く、孤立感を感じやすいです。令和6年度版高齢社会白書では、高齢者の約48.7%が孤独死への不安を抱いていると報告されています。

⑤経済的困難

低収入や無職の高齢者においては、経済的困難が原因で孤立しやすく、孤独死のリスクが高まっています。
総務省統計局による2024年人口動態データでは、高齢者世帯の約22.0%が低所得であり、経済的困難が孤立を深め、孤独死のリスクを高めていることが伺えます。

【参考:孤独を感じている人の割合】 

上の表は、性別・年代別で「孤独を感じている人」の割合の調査。
男女比においては、4ポイント程度男性の方が孤独を感じている割合が多くなっている。
年齢別にみると、若い世代ほど孤独感を感じている比率が高い傾向がある。

孤独死の現状

私たちは日々、交通事故のニュースに接し、その悲惨さに心を痛めます。しかし、あなたのすぐ隣の家で、今日も誰かが孤独のうちに息を引き取っているかもしれないという現実に、目を向けたことはありますか? 年間の交通事故死者数2687人をはるかに上回る、約25倍にあたる約6万8千人もの人々が、孤独死という形で人生の幕を閉じているのです。この数字は、私たちに何を問いかけているのでしょうか。

人体腐敗プロセスと
早期発見の
重要性について

孤独死と72時間の
タイムリミット

72時間以内に遺体を発見しないと、腐敗が進行し、遺品の撤去だけでは済まなくなります。尊厳ある見送りも困難になります。

●人体の死後経過

12時間後:死後硬直が始まり、体が硬くなります。
24時間後:死斑が形成され、皮膚が紫色に変色します。
48時間後:死斑が濃くなり、部分的に腐敗が始まることがあります。
72時間後:腐敗ガスが増え、皮膚が裂け、体液や脂が漏出し、悪臭が発生します。 周囲への影響も大きくなります。

●死後の段階

初期段階(死亡直後~数時間以内)

  • 死斑:30分~2時間で青紫色に変色。
  • 死後硬直:3~6時間で始まり、12~24時間でピーク。
  • 死冷:1~2時間後から体温が環境温度に向かって低下。

中期段階(死亡から数日以内)

  • 腐敗:体内組織が分解、ガスが発生し、体が膨張。皮膚は緑や黒に変色。
  • 皮膚の剥離:皮膚が剥がれ落ちる。

後期段階(死亡から数週間以降)

  • 骨化:軟組織が完全に分解され、骨だけが残る。
  • ミイラ化:特定の環境で乾燥し、遺体が保存されることがあります。
●季節・環境の影響
  • 初夏季:高温で腐敗が進行しやすい。
  • 雨季:高湿度で腐敗が進みやすい。
  • 冬季の暖房:高温で腐敗が進行するが、湿度が低く進行は遅い場合も。
  • 温度:高温多湿で腐敗が速く、低温乾燥で遅れます。
  • 湿度:高湿度で腐敗が速く、乾燥環境でミイラ化します。
  • 酸素供給:密閉空間では腐敗が遅れます。
  • 昆虫活動:ハエなどが腐敗を加速させます。

孤独死による部屋への影響

遺体から漏出する体液や血液、脂は内装材や建材に染み込み、大きなダメージとなります。これにより清掃、除菌、オゾン脱臭、消臭などの特殊作業が必要です。軽微な対応で済む場合もありますが、遺体発見が遅れると、畳や床材、壁材、浴室配管にまで染み込むことがあります。

特に木や石膏ボードは臭いが染み込みやすく、表面的な洗浄では除去が困難です。
この場合、床板や壁の取り替えが必要となります。
また、強烈な臭いに引き寄せられる害虫が現場や近隣住戸に侵入することもあります。
薬剤による駆除が必要で、何度か行う必要がある場合もあります。

経費の負担

国土交通省の「住生活基本計画」によると、単身者世帯の必要面積は25㎡です。特殊清掃、リフォーム費用は相続人が放棄すればオーナーの負担となります。

死後の尊厳について

孤独死は、人間の死後の尊厳に大きな影響を与える深刻な問題です。
発見が遅れることで遺体の状態が悪化し、人間の尊厳を傷つけます。

遺体の損傷が進行する過程は、死後24H後に死後硬直が始まり、72H後には皮膚が避け体液、血液、体脂などが漏出し始め鼻をつく限度を超えた臭気を発散する可能性があります。

1ヵ月も経過すると遺体は無残な状態となることは語るまでもありません。 これは人間の死後の尊厳を著しく傷つけます。

一方、孤独死した者の家族や関係者は、深い悲しみや喪失感、自責の念や後悔、衝撃や恐怖などの複雑な感情を抱きます。
今の日本の社会では上記の問題に対して対処し、予防措置や支援システムを改善し、地域コミュニティを強化することが重要です。

また、我々の提唱する当該サービスを活用しその裾野を全国に拡充することは有益と考えられます。

⦅ケース①⦆

個人の尊厳が保たれつつ、
家族や関係者によって
適切なケアや支援が提供により
死後の尊厳が保たれた場合
  • 1.個人の闘病生活:
    病気や老齢により入院し、医師や看護師などの専門家のサポートを受けながら治療やケアを受ける。家族や友人との支えや励ましを受けながら、生活を送る。

    2.最期の時のケア:
    病状が悪化し、医師と共に治療方針を決定し、最期の時を迎える。この際、家族や関係者とのコミュニケーションが大切にされ、個人の希望や意志が尊重される。

3.死亡の宣告:
医師により死亡が宣告される。この際、家族や関係者に対して適切なサポートが提供され、感情の表現や理解の支援が行われる。

4.弔いの儀式:
死後、家族や関係者によって葬儀や告別式が執り行われる。この際、個人の信仰や文化、価値観に応じた儀式が行われ、故人を偲ぶ場となる。また、友人や知人からの支援や励ましを受ける。

⦅ケース②⦆

個人の死後の状況や周囲の
支援体制が不適切であり、
死後の尊厳が
損なわれてしまった場合

1.医療上の適切なケアの欠如:
個人が病気や老齢により入院し、適切な医療や看護が行われなかった場合、苦痛や不快な状態で最期を迎えることがあります。適切な緩和ケアや痛みの管理が行われず、苦しんだまま亡くなる可能性があります。

  • 1.医療上の適切なケアの欠如:
    個人が病気や老齢により入院し、適切な医療や看護が行われなかった場合、苦痛や不快な状態で最期を迎えることがあります。適切な緩和ケアや痛みの管理が行われず、苦しんだまま亡くなる可能性があります。

    2.孤独な最期:
    個人が孤独で最期を迎えることがあります。家族や友人の支えがなく、医療スタッフや看護師などの専門家だけがそばにいる状況で亡くなることは、死後の尊厳を保つ上で理想的とは言えません。

    3.葬儀や告別式の欠如:
    死後、適切な葬儀や告別式が執り行われない場合、故人の尊厳が損なわれる可能性があります。故人を偲ぶ場がないまま、無視されたような状態で埋葬されることは、故人や遺族にとって心の傷を深めることになります。

孤独死の事例

下記には孤独死に関する写真を掲載しています。ショッキングな内容のため、モザイクを施していますが、写真にマウスポインタを合わせると鮮明に表示されます。ご覧になる際はご注意ください。

事例①

1人暮らしの高齢者男性に
起こった孤独死

この事例は名古屋市でおこった孤独死です。この部屋に住んでいらっしゃった方の、義理の息子さんが発見されました。
普段からお義父様のお金を管理されており、毎月振り込んでいたお金の引き出しが無いのを不審に思って部屋を訪れてみたところ、お義父様がベッドで亡くなっていました。
部屋中にはハエが飛び回っており、体液も溢れ出ている状態でした。

事例②

身寄りの無い方の孤独死

このお部屋で孤独死されたのは身寄りの無い方でした。
死後約1週間が経過したところで発見されました。布団の上でお亡くなりになられており、体液の一部が、畳の隙間から床下まで浸透していました。

事例③

ベットや布団の上
だけではない、
トイレでの孤独死事例

トイレの中で亡くなられた孤独死の様子です。
死後かなりの時間が経過しており、死臭がかなり酷く、トイレ便座の中と床には、体液が大量に在る状態でした。孤立死・孤独死は場所を選ぶことなく、どこで起こるか分からないということがこの事例から言えます。

事例④

2ヶ月間も発見されなかった
孤独死

この事例は、死後約2ヶ月経過後に発見されました。床に直引きした布団の上で亡くなられていました。
布団と敷パットが在った為、体液が広がり、酷い臭いが部屋中に充満していました。この事例からも、死後の尊厳を守ることや、家族のためにも早期発見が重要であると感じます。

孤独死が及ぼす
物件への影響

残置物処理費用
原状回復費用
家賃保証
(参考)家賃平均

残置物処理費用の平均損害額は約23.7万円で、保険金は約23.6万円でカバーできますが、最大で178万円かかった事例もあります。特殊清掃などを含む原状回復費用の平均損害額は約39.7万円で、保険金は約31.2万円である程度カバーできますが、最大で454万円の事例もあります。家賃保証の平均損害額は約32.9万円で、地域ごとの平均家賃は東京都5.6万円、愛知県4.1万円、大阪府4.1万円です。

孤独死の発見が遅れることで損害が増大し、警察の身元確認や相続手続き、残置物撤去、原状回復、再募集に数か月かかることがあります。特に賃貸物件の気密性が高いと発見が遅れる原因となります。

これらの項目の損害額を合計すると約96万円となり、孤独死1件あたりの出費は100万円前後と見積もられます。損害額は年々増加しており、4年間で約5.4万円増加しました。物価高騰などが背景にあり、今後も費用負担の増加が予想されるため、大家さんは早期発見の対策を含めた備えが重要です。

孤独死発生に伴う平均
損害額の変遷

「賃貸住宅に1人で暮らす人」の孤独死と聞くと、高齢者が人知れず亡くなるイメージを持つかもしれませんが、実際の平均年齢は61.9歳で、60歳未満で亡くなる人が38.4%に達します。現役世代で孤独死が多い理由は、まだ元気だと思われがちで、家族や知人も死亡を予期しないためです。さらに、現役世代は多忙でストレスが多く、単身生活では不摂生な生活が心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。また、自分は若いから大丈夫という安心感から見守りサービスなどの備えを怠ることも要因となっています。

国土交通省策定の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年公示)によれば、賃貸住宅内で病死し早期に発見された場合の告知義務は発生しませんが特殊清掃が入るような状態で発見された場合は別です。
借り手に心理的瑕疵が生じるため発生時から3年の間は「事故物件」としての 告知義務が生じてしまいます。

発見までの日数

女性の孤独死者で3日以内に発見されたケースは47.0%(男性38.9%)、73.4%が2週間以内に発見されています。一方、男性は15日以上経って発見されるケースが30%を超えており、長期化の傾向がみられます。

また、孤独死者の中で、女性の方が男性よりも早期に発見される傾向があります。近親者による発見は女性が10ポイント以上高いことが報告されています。どうやら女性は男性に比べ、他者とのコミュニケーションの多い傾向の表れと考えられるようです。

発見者

孤独者にとって親族や友人などが第一発見者となれる可能性は低く、発見者の多くは職業上の関係者であるといいう事実です。しかも死亡から発見に至るまでの日数平均は18日・・・。これが現代国家であるこの日本の各地で発生している孤独死の実態です。

さいごに

大家さんにとって入居者がお亡くなりになることはさぞ悲しくつらいことでしょう。しかし、いくら大家さんといえども入居者が亡くなることを予防することは不可能です。大家さんができること、それは入居されている方の死後の尊厳を守ることではないでしょうか。またそれは同時に大切な賃貸物件(不動産資産と投資資産)を守ることにつながるのではないでしょうか。いくら家主型の孤独死保険や短期少額保険に加入したとしても特殊清掃によるリフォームが発生した部屋は国土交通省の「人の死の告知に関する新たなガイドライン」に従って事故物件(心理的瑕疵物件)として扱わなくてはならない状況に陥ります。当社の見守りサービス「らいみー」を論理的に理解してみてください。「らいみー」は最長54時間以内の早期発見が可能です。言い換えるのであれば、絶対に死後の尊厳を毀損する状況にはさせないということです。このことが当社の「らいみー」の一番の特徴となります。この点に関しては他のサービスと比較しても絶対的な優位性があると自負しています。

出典元・
提供元情報

  • データ・文章:
  • 日本少額短期保険教会 第8回孤独死現状レポートより
    令和6年度版高齢社会白書
    総務省統計局
  • 挿入画像:
  • こころテラス東海(株式会社L.A.P. 東海)

各種SNS